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断熱性能向上による健康改善と冬季死亡率低下の相関
断熱性の良い住居へ移り住んだ人々を対象にしたアンケートで彼らの健康状態の変化について尋ねたところ、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息などの症状が軽減したとの回答が圧倒的多数を占めました。
また、断熱性能のレベルが高いほど、その改善効果も大きいことが示されています。
都道府県を分けて見た場合、冬の死亡率の増加と断熱住宅の普及度との間には関連性が認められました。
つまり、断熱住宅が広く普及している地域では、冬場の死亡率の上昇が少ないことが明らかになっています。
入浴中のヒートショック
家庭の浴槽で溺れて亡くなった65歳以上の高齢者(溺死者)の数は、毎年5000人前後。
入浴中に倒れて他の疾病に起因する病死として分類された方も加えると、約1万9000人と交通事故死亡者の6.5倍です。※人口動態統計より
(全国の交通事故の年間死亡者数は、2023年は2678人)
暖かい家が健康寿命を延ばす
寒い環境は血管を収縮させ、血圧を上昇させることが知られています。
そのため、断熱性能が高く室内が適切に温められた家では血圧が3.5㎜Hgも低下することがわかりました。
これは高血圧を持つ人々にとっては重要なメリットとなり、心臓病や脳卒中のリスクを減少させる効果が期待できます。
また、寒さによる血流量低下は筋肉が緊張しやすくなり、滑って転倒しやすくなるなど怪我のリスクが増加する可能性があります。
室内温度と骨折や捻挫の関連性において、平均的に室温が14℃を超える住宅に住む人々と比べ、14℃以下で生活している住宅の住民の方が、骨折や捻挫の発生率が1.7倍高いことが分かっています。
暖かい地域の方がヒートショックによる死亡例が多いのです。
死因の上位が心疾患・脳血管疾患
令和3年(2021年)4年(2022年)の10万人に対する死因順位では男女混合で心疾患がおよそ15%、脳血管疾患がおよそ7%。計2割以上の方が亡くなられています。
住環境の温度差が少なからず死亡率と関連している場合、いち早く住まいへ対策を施し、快適な環境で長期間過ごして健康へのリスクを軽減することが何よりも大切です。
関連リンク
国土交通省 スマートウェルネス住宅等推進事業調査結果
https://www.mlit.go.jp/report/press/house07_hh_000198.html
断熱改修等による居住者の健康への影響調査 概要
https://www.mlit.go.jp/common/001270049.pdf
令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況
第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei22/dl/10_h6.pdf